それでは行ってきます

ハワイに行って参ります。
ハワイっていうのは、今まで何回も(仕事で)行ったことがあるのですが、あれほどバカンスで行くと楽しく、仕事で行くとつらいところはないですね。
本日夜のフライトなのですが、このところ徹夜続きだったので、さっき起きた。これから準備しなくては。ぼけぼけ。
あ、どう考えても下着が足りないなー。これから洗濯して間に合うかなー。これは、もしかしたら洗濯物は濡れたままスーツケースにつめて現地で乾かすっていう最終手段にでるしかないかなー。あ、でも明日は朝到着したらそのまま取材で夜までホテルに入れないんだ。そうするとちょっとにおうかもなー。それはいやだな。
こんなことを言っている間に準備をすればいいのだけど、出張の準備というのは頭で考えるものではなく、ノリが大切なんであって、エスプレッソを飲みながらテンションが上がるのを待っている。あー、こんな時間に家にいるのはひさしぶりだな。「ごきげんよう」やってるー。何年ぶりかなー。

昨日は実はまじめに生きれば3時には寝れた。それなのに、コーマック・マカーシーの「ザ・ロード」を読んでいたら、やめられなくなり朝になった。ついついやめられなくて最後まで読んでしまう本なんて、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」以来じゃないだろうか。「ザ・ロード」を読了し、その後見た夢はあの世界そのまま。私は冷たい灰色の降る雨の中で、誰かと肩を寄せ合っている。それが誰だかはわからないけど、『こんな人でも、世界で唯一のぬくもりなんだ』と思っている。もし世界が終わり、この世の枠組みが崩れれば、私はその人を今のように責めることはなくなるのだろう。ただ、純粋に愛だけがそこに残るのだろうか、と思う。
「ただ純粋な愛」?

借りにその純粋な愛が原始的な世界にしか存在しないならば、歴史が生まれてから書き綴られた過去の偉人たちのどんな告白も苦悩も、私になんの助けも与えない。
それでも、私はそこに至る手段を歴史の中にしかみつけられない。

なんてことをぼけぼけ考えながら、出張に持って行く本を選ぶ。本当は読む暇などなくて、いつもほぼそのままの状態で持って帰る。それでも、それはお守りだ。
さて、そろそろ拡張を考えなければならない本棚の前にたち、本を見渡す。先日読んだパワーズの「われらが歌う時」は素晴らしかった。だから「舞踏会へ向かう三人の農夫」もいいが、ちょっと違うな、ハワイとは違う。ああ、久しぶりにディネセンを読もう。私がまだ田舎の中学生だったころ、街に唯一ともいえるそれでも東京の私鉄沿線の商店街の中の本屋といった程度の書店で、わずか棚一つの海外文学コーナーで、奇跡的に偶然出逢い当時大金だった2,300円を震える手で支払って手に入れた、初めてのハードカバーの海外文学だ。最近、池澤夏樹が世界文学全集でディネセンを入れているのを知り、ああやっぱり彼は私の信頼している男だと満足したのだけど、それで結局私の本棚にはディネセンが二冊あることになってしまったのだけど、全集にカップリングされている「やし酒のみ」の方はまだ読んだことがない。よし、決めた。池澤夏樹海外文学全集第8弾を持って行こう。
さて、ようやくテンションがあがってきました、というか、そろそろ準備を始めないと飛行機乗り遅れるわ、マジで。