あの人はどうやらベッコウめがねの年上の女性に弱いらしい

昨日は夕方から豊島園に行ってきました。
今の季節だけ夕方は無料で開放していて、園内500本のソメイヨシノを観賞できるのです。

一時絶叫マシンで名を売った遊園地だけど、今となってはコスプレ族の棲息地。実に多種多様なコスプレを拝見することができました。

しかし、だ。
乗り物の順番待ちをしている間、前にいた女の子をみるともなしに見ていたのだけど、どうして髪の毛を緑に染めたりつけまつげをしたりと結構めんどくさく手を加えるくせに、おかっぱカットが見るも無惨にギザギザだとか、アイライナーがよれてまぶたにべたべたと散っていたりと、中途半端なのだろう。きれいにやれよきれいに。せっかくやるなら。うちの社長は、大切なのはディティールだ、と常に言っていて私もその通りだと思う。かくいう私はディティールにあまりこだわらないほうで、これは今後の課題なのだけど、でもやっぱりこういう中途半端な手入れを見るにつけ、ディティールは大切だなあ、と思う。

で、イチオウ豊島園なのだし、絶叫マシンにいくつかのる。くるくると回転するジェットコースターはあんまし怖くないのだけど、どうやら私は遠心力を利用した類の乗り物に弱いらしく、たこみたいなものにのってぶんぶん振り回されるやつとか、チェーンのついたイスにのって空中をぐるぐるまわされるやつとかは結構こわい。そしてなりよりそのチェーンのついたイスは、乗るポーズが恥ずかしい。イスに座ると身体を固定するために座面の方から股の間を通しておへその前あたりにある金具にベルトを固定するのだけど、デニムのスカートをはいている私は、太ももあたりまでスカートがたくし上げられる形になる。これは嫌らしい。空中をぐるぐると回されながら、「盗撮!遊園地絶叫マシンパンチラ連続100」とかそういうタイトルがふと頭に浮かぶけど、実際にそういうビデオを見たことがあるわけじゃない。

先週も劇的に忙しい一週間だった。
金曜日は、「財界の大物」とやらにインタビューする。非常にキレ者で話はわかりやすく、興味深いものでした。日本社会について、日本人の精神云々という話を絡めて語ってもらいました。とても勉強になった。
だけどね、結局そんなのどーでもいーじゃん、と思ってしまう。もちろん、仕事だから全力を尽くしてまとめて、原稿にします。だけど、私は「財界の大物だから」という理由で平身低頭する上司に言ってやりたい。私にとっては、「財界の大物」であろうと「町のパン屋さん」であろうと、どちらも等しく価値のあるものだ、と。
それを取材し記事にすることが私の仕事であり、そこに傾ける情熱はどちらも等しい。どーでもいーじゃん、っていうのは、つまり、行列のできるメロンパンの人気の秘密を探ることがどうでもいいのなら、日本社会の展望だってどうでもいいってこと。結局、「財界の大物」がいくら言葉を紡いでその頭でっかちで考えて研究しつくされた間やカメラ目線で語ろうが、そもそもその「財界の大物」の言葉に耳を傾ける人はすでに一部の人間であって、本当に届かなきゃいけない人、たとえば現場にいる労働者やニートと言われる人々などなどには、届かない。最初から排除してしまっているのなら、そんなのただのあんたの趣味の世界じゃん。盆栽やケーキ作りと、一体何が違うんだ、と思う。そんな人間の語る日本社会の展望は、ファイナルファンタジー12の攻略本と同じようなおもしろさとしか私には思えない。
私は、こびたりへつらったりはしないよ。上司のように。町のパン屋さんと同じように、取材相手として敬意は払いますけど。

そんなこんなで、人はどこで、信頼を失うか考える。私は上司のことがそう嫌いではないけど、尊敬や信頼はしていない。まあ、単純で便利だなあ、とは思う。でも話すとがっかりしてしまう。話していてがっかりされるのは、私自身は一番きつい。尊敬や信頼、とまではいかないけど、せめてがっかりされたくないなあ、と思う昨今でした。