恋がしたい

Chartreuse2006-02-09

先ほど仕事も兼ねて、表参道ヒルズのTASCHENで安藤忠雄のサイン会、のぞいてきました。安藤さん、相変わらずの髪型。ラブ。
本日は表参道の内覧会だったらしく、表参道周辺はすごい人。別に今見なくたって、土曜日になれば見れるんだけどね。撮影の車もたくさんきていてちょーじゃま。なんかアイドルの撮影もしていたみたいで、この寒空の下ノースリーブのお姉さんがたが楽しそうにカメラに向かって笑ってました。なんか非現実的だなー。

恥ずかしいんですが、池澤夏樹の「きみが住む星」をたまに読み返してしまう。
読んでるとものすごく恥ずかしくなるのですが、それでも、ときどき、何回も読んでしまう。たぶん、私はこんな手紙を待っているんだろう。
私の知る男は、素晴らしい言葉を紡ぐけれど日常的な事柄に破綻した人か、日常的な事柄はきちんとこなすけど言葉を操れない人のどちらかで、まあ双方を併せ持つ人なんてなかなかいないかもしれないんだけど。
素敵な言葉やメロディーや色、形やリズム音や匂い、そんなものをかつてもらった。それらは全てが宝石のようにきらきらとしているけど、その獲得は、生半可な忍耐ではなかった。それは、それは、身のすり減るような想い。明け方の濡れたアスファルトを、何度彷徨ったか。もう一度、あんな恋をしろと言われても、もうそんな情熱は残っていないような気がする。今の恋はそこにどんなストレスがあろうと、それは物理的なストレスで、結局、私は安寧の地をみつけたということだろう、今のところ。
だけど、懐かしい。あの鮮やかな思考、大胆な行動、裏腹に脆い感情。それが崩れたときに噴出する動物的な慟哭。私を突き放したかと思うと、引き返したくなるくらい深くまで私を引きこんでいく。あの昂揚。
だけど私は、深淵でみたその素顔を覚えていない。それは、特に私の心を打たなかったのかもしれない。私が愛したのは、素顔ではなく、それに纏わる乱高下だったのかもしれない。それで私の心は醒めた。そろそろ、遊園地は卒業。
それでもいまでもいつでもいつまでも、私は言葉を待っている。驚きと示唆に富んでいて、触れるだけでわくわくするような言葉。ああ、やっぱりもう一度、あんな恋がしたいなあー。




きみが住む星



異国の客

異国の客