月から銀のお盆が落ちてきたんだ

裏日本の湿潤な気候で育ったから東京の殺伐とした乾燥に耐え切れません。22歳から基本的に基礎化粧品はランコムで変えてないのですが(途中経済的危機により一時ファンケルを利用したこともあるが)、この冬、ついに使い続けていたランコムのラインではドライスキンが補習しきれなくなりました。27歳。年齢の壁を感じます。


昨日は東長崎(九州じゃないよ。西武池袋線沿いにあるやつ。まあ長崎のすっごい東ではあるけど)にある鰻屋へ。
商店街の端っこっぽいところにある鰻屋。クチコミとかみても結構高評価。注文をうけてからさばくので時間がかかる、ということだったので池袋から電話して、「特」の鰻重を注文しておく。
お店はこあがりが二つとカウンターが4席。もしかしたら二階もあるのかも。ついたらカウンターの二つ以外はお客さんで埋まっていた。
とりあえずビールと肝焼き。しばらく待ってると特大の肝焼きがでてくる。すごい。香ばしくてうまい。でもちょっとこんなにはいらないかも。二人で一本でいいかも。う巻きが食べたかったのだけど、なぜか時価。そういえば、ここの鰻重は三種類あって、一番高い特2,100円の上に「特上」ってのもあるんだけど、こちらも時価。迫力の肝焼きを食べてる間にう巻き気分はおさまってきた。
いよいよ待望の鰻。どっかのクチコミサイトで鰻は目の前でさばかれるため血しぶきがかかるときいていたのでどきどきしながら座ってたのですが、生憎血しぶきは浴びることができませんでした。そうだ。再三いいますが、私は鰻が大好き。うまい鰻を食べさせてくれた人とは、結婚を考えてもいいと思う。あ、あとしめさばと湯葉が好きです。よろしくね。
重箱をあけるとちょっとしらっとした鰻。いわゆる飴色ってやつじゃないです。で、一口。柔らかくてとろけるよう。一口目は、味が薄いかな?って思うのだけど、食べてるうちに美味しくなります。これはすごい。食べ終わるまで、飽きることなく美味しいの。むしろ最後の方が美味しく感じる。ラーメンも焼きそばも最後には飽きちゃうからあんまし好きじゃない私が、同じものを食べ続けて最後の方がもっともっとってなるのはすごい。鰻重には肝吸いとおしんこがついていて、こちらも良い感じです。ビールと日本酒も飲んで一人3500円弱なり。月1で行こうと思った。

追記:途中でご主人が活きた鰻を見せてくれた。一番でっぷり太った鰻が、その日の特上。5000円くらいだって。


美味しい鰻のおかげでようやく私の機嫌も治ってその日は仲良くおやすみ(と言っても二日ぶりか)。今までしたセックスの回数を記録しておけばよかった。「正」が一体いくつになるんだろう?セックスというのはしなければしないで1年くらいしなくても平気なのに、し始めると習慣になるんですね。特にこの手近感がよくなくて(いや別にいいけど)、手を伸ばせばすぐそこに相手がいるというのは、すごい欲求がなくてもなんとなくしちゃう。とはいえ、最近の若い子は淡泊らしくて22歳の男の子と付き合う友人は、やろうよと言ってもそんなことして疲れるよりももっと有意義に時間を使おうとかいわれて、ザ・ホワイトハウスみたり、プレステとかしてるらしい。それはそれで楽でいいけど、なんかじいさんなんだか子供なんだかわからん、と友人は笑ってたけど、ま、ほどほどがいいですね。て、適当なまとめ。
私の不機嫌の理由は完全に私個人の問題で、こんなんでよそよそしくなられた恋人は、たまらなくかわいそうだと思う。だけど、非常に辛い夢を見た。
その人の、亡き妻が、生き返る夢。生き返ったばかりの彼女は、まだ体調が万全ではなくて、キッチンのスツールに腰掛けて、亡くなる直前の写真のように薄い光をまとっている。恋人は、彼女が生き返ったことに戸惑いを覚えている。次第に生を取り戻していく彼女。光は強くなって、新婚旅行の写真のように、健康そうな力強い微笑みを浮かべ、ママが帰ってきてくれたことに大喜びする子供と遊んでいる。恋人は、だんだんと、彼女との生活を思い出す。めまぐるしく部屋の有り様を変えた私の存在を、かくもスムーズに受け入れたように、彼女との生活を再び営みはじめる。私は、この家に来た直後のように、夜になればリビングの隅にマットレスを引いて眠る。恋人は、深夜、私の布団にやってきて、抱きしめて「愛してる」と言う。
「愛してる」。
私もそう答える。
それはお互い、嘘じゃなくて、わかってる。どうしようもなくて、とても、強く抱き合って、泣きながら、目を覚ます。
明け方。穏やかに眠る恋人。身を寄せると、夢うつつで抱き寄せてくれる。

だけど、「彼女」の存在は、日に日に私の中で、大きくなっていって、決して打ち壊すことのできない、巨大なしゃぼん玉みたいに私の頭上を漂っていて、どうしようもない。どうしようもないのよ。
あなたにできることも、私にできることも、ないの。なにも。