残り少なくなったパウダーファンデーション。慎重に使っていたのに隅にのこっていた薄くなった固まりがポーチを落としたら粉々に壊れて、化粧を直そうと思って開いた瞬間に辺り一面が真っ白になった。私のパウダーファンデーションの最後って必ずこうなんだけど、これ以外のパウダーファンデーションの臨終ってあるんだろうか?

というわけで、久々にランコムカウンター。 9月発売のマキケーキモイストフォーエバー。
やっぱり素晴らしいです。5,460円+ケース1,000円。女性の肌は一枚できあがるまでに一体いくらかかるんでしょう?だけど明日はメイクアップアーティストがいらっしゃってメイクを教えてくれるとか。申し込まずにはいられない。あーあ。でも楽しみ。

アパートを引き払うことを決意したとき、重大なミスに気がついた。鍵の一つは、まだあの人が持っている。
2,3日時間をおいて、電話をかけてみる。
海を越えた電話でも、それはごく隣町のようなコーリング。
「元気?あのさ、私のアパートの鍵、まだ持ってる?返してくれるかな。引っ越すの。同棲するの。うん。たぶん、結婚するのかも。まだわかんないけど」。


心を探って。
この人に、憎しみはない。取り立てて、愛情もない。絆と呼べる物もない。相手にとっての私なんて、想像すらできないくらいのはかない理解しかない。でも、記憶がある。それは、心より、体の記憶。私の体を、まるでモノのように愛撫した。たぶん、本当にモノでしかなかったんだろう。だけど、彼にとってはモノこそ、唯一愛せるものなのかもしれない。
どうでもいいわ。
でも、どうでもよくないの。


昨日、転送されてきた郵便物のなかに、エアメールが一通。手渡す恋人は何か聞きたそうだから、海外に住むモトカレからの誕生日プレゼント、とほどほどの嘘をつく。封を切ると、「Happy Birthday」とかかれたメモと二つの鍵。
二つの鍵?
鈍い銀の鍵は酷似しているけど、微妙に違う。どっちかが私のアパートの鍵。どっちかが、どこかのドアの鍵。

相変わらずね。
ため息をついて、次逢うときまで、私は鍵のかかったドアを探すのだろう。
いつものように、何の約束もない、再会の日までずっと。