チューリップ

その6歳の少女は、体調不良で寝込む父親に変わって不慣れな手つきで髪を梳かし洋服を着せる私に話しかける。壁にかけられた、その人の亡き妻の美しい、美しい写真。木製のフォトフレームから溢れそうな、弾けんばかりの笑顔。純白のウェディングドレスに身を包んで。人生で最も幸せだった日かもしれない。人はあんなに幸せそうに笑えるのだと、これを見た人は心打たれるだろう。少女はそれを指さして、言う。「ママが生きていてくれたら良かったのだけど」。そしてふり返って上目遣いで私を見上げ、はにかむ。私には言葉もない。「ママはいつでもあなたを見てるよ」。そんな陳腐な台詞は吐けない。ママを思って折った折り紙のチューリップ。花びらがギザギザの方は、ママがいなくて淋しいチューリップ。弧を描く花びらは、優しいママの想い出を、なぞりながら折ったチューリップ。少女は、とても聡明で、ママの代わりを私に求めたりはしない。こだわっていたのは私の方。「私はママにはなれないよ」。当たり前だよ、このバカ女。どっちが子供なんだか。もう一度、永遠に壁で笑う幸せの頂点の彼女を見る。それは、私に確信を与える。あの人は、そんなにもあなたに幸せを与えられる人。ならば、信じられる。それだけの笑顔をあなたに与えられる人。彼とならば私は永遠に、微笑んでいられるだろう。

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