インスブルック

Chartreuse2005-08-29

本日はこの旅始まって以来の豪華なディナー。
日本人で初のキュッヘンマイスター(オーストリア国家公認料理マイスター)の資格をとった神田真吾氏プロデュースのレストラン「ヴィラ・ブランカ」に行った。
中心部から5分程度丘を登った高台にある洒落たレストランで、窓からの雄大な眺めが素敵です。神田氏自身はもうここにはいなくて、日本で現在オーストリアの料理屋さんをオープンするために準備中らしい。だから今は神田氏が考案したメニューをブランカの料理長ペーター・ミッタラー氏が腕を奮っているそうです。
本日のメニュー
「岩魚の軽い薫製 香ばしいポテトのネットムスカットオットネル・ビネグレットソース」

軽い薫製というのが魅惑的。ちょっとシメサバを思いださせます。シメサバ大好きな私にとってはたまらない。ポテトのネットは本当に網状になったポテト。芸術的。


「赤カブの葉のスープ 赤カブチップス」

赤カブのスープ!美味しいです。ちょっと塩辛いけど、手の込んだ一品。周りの紅いのは唐辛子。ぴりっとした辛さがたまりません。


「子牛ロース肉のロースト アンズ茸のグーラシュ ポテトのバームクーヘン」

ミディアムレアの子牛は上品。ロースだと思えないほどさっぱり。でも旨みは間違いなくロースです。アンズ茸というきのこはシメジの大きいのみたいな感じ。肉厚で美味しい。ポテトのバームクーヘンは、バームクーヘンと言う名の通り、ミルフィユみたいな層になっている。すごい!手がこんでるう!

合わせるワインがまた美味しい。地元産の白ワインは、グリーンアップルとフローラルの爽やかな香り。でも味わいはドライで飲み口が良い。温度が適温で、その辺の気の使いかたはさすが。
続く赤も地元産。こちらは凝縮されたベリーの香り。濃厚だけど、渋みはなく後味が軽快。ついつい杯を重ねてしまう。
デザートは「フレッシュチーズのスフレ 野いちごのラーグー、グリーンペッパーソース」

フレッシュチーズのスフレは、焼きたてのふわふわを持ってきてくれます。
スフレはすぐに萎んでしまうため、レストランでしか味わえない贅沢なデザート。甘酸っぱく煮詰めた野いちごの味のアクセントにペッパーソース。このぴりり感が斬新です。

食後はエスプレッソ。もうお腹一杯。大満足。そしてもうひとつ大満足だったのは、ウェイターがマジ私好みの超ハンサムな男の子。一緒に写真をとってもらって、もう大はしゃぎ。すてきなインスブルックの夜でした。
明日はザルツブルクへ向かいます。




インスブルック補足日記

インスブルックはとても美しい街。中継地点のつもりが、予想を遙かに超えて良かった。だけど、寒いぜインス。酷暑の日本を出たのは2週間前。今日のインスは15度に届かなかったのじゃないか。
イタリアからインスブルックにくると安堵する。チップをせびられることも騙されることも(そう)ない。街は整然として美しい。ただ、私はイタリアの混沌も好き。でも12日間もいると、さすがに疲れるのです。処理能力が限界を超える。これからブダペストまでは未知の土地。イタリアの疲労が消えていく。未知のものは私を元気づける。
インスブルックの日曜日はほぼすべて休みで、やってるのはごくわずかな商店だけ。スワロフスキーとクリスマスのオーナメントショップくらい。スワロフスキーは日本のデパートより遙かに多くて、あの透明な輝きに心打たれずにはいられない。やっぱり美しいモノは美しい。だけどもちろん手が出ないので、見学だけで退散。クリスマスのオーナメント屋に行く。何を隠そう、私は大のクリスマス好き。数千種類はあるんじゃないかというオーナメントを前に、大はしゃぎして、だけど全て手作りのオーナメントは一個800円くらいするし、繊細な作り出し持って帰る間に壊しちゃうだろう。どれか一個だけ買おうとさんざん悩んだあげく選びきれなくて、がっかりしてホテルに帰った。ホテルに帰ったのは食事を終えた午後10時過ぎ。日本は朝5時か。ネットをつなぐ。恋人にメールすると、スカイプがかかってくる。「なんで起きてるの?こんな時間に」。
「いや。起きてるわけじゃなくて」
私からのメールは特別な音を出して恋人を起こす。信じられない。いつでも私の言葉を待つ恋人。
オーナメントを買いそびれちゃったのとぐずる私は、大丈夫素敵なツリーを飾ってあげるからという恋人の言葉に安堵して、心の中の刃物はばらばらに崩壊する。武器をもたない私は、誰かの庇護の下じゃなきゃ生きられない。
あまりにも、遠いわ。私を抱きしめて、汚れた体を清めて。