タネも仕掛けも

その昔、私が愛したとてもシャイで淋しがり屋な男には、恋人がいた。その人は、その恋人のことを、「そう好きじゃない」と言い、無邪気な私はその言葉をそのまま信じたけど、後にそれは、「自分の人生のその他の事柄に比べて、恋人の存在そのものがそう重大じゃない」ということだったということが判明した。
ばかね。
それは「ラーメンズのコントとセックスのどちらが楽しいか」というようなもの。いつでも必ず楽しいのはラーメンズのコントだけど、底なしの絶望とか失望とか哀しみとかそういうのがあってもセックスはやってしまう。比べられない。
その人の告白を聞いたとき、マジシャンがタキシードの裏側をちらりとみせて、種も仕掛けもございません、とすまして言っているような気がした。真実を語っているようで、はぐらかされている。
人生の他の事柄の「好き」と恋人に対する「好き」を同じレベルに持っていくなんて、なんて乱暴なのかしら。恋に費やすエネルギーは人により強弱はあるだろう。私は恋に多大なエネルギーを費やすと決めたわけだし(というかそうありたいと願っているのだけど)、他方で恋愛がとても軽い人もいる。だけど、分かりやすく翻訳してくれないと、わかんないわ。見てよ。私は一つの答えを得るまでに、とても大回りをしてしまった。
あなたは、その人のことを愛している。
そう宣言することが、嘘でも正しいことが、あるでしょう?


ダイエットをしよう、といつも思っている。このままじゃあ、ポテロの彫刻がお好みの美少年に、モデル役をやらされてしまうわ!
だけど私はお粗末ながらグルメ関係の仕事に従事するもの。なかなかこの想いはままならない。ああ、アルファリポ酸でもコエンザイムでもフォースリーンでも、飲んで痩せるならいくらでも飲むけれど、学問とダイエットにラクな道なし。
外食日記だけでもかなりのボリュームになるだろうし、その方が読んで下さる方には有用だろうけど、仕事を離れたら私はひたすら恋に生きたいんです!これからも恋について書きますとも。と、今さらながらになぜこんな宣言しているかと言うと、昨日いただいたメールで「sumikko さん*1は恋愛ライフを満喫されているようですが、仕事はしてるんですか?」というメールをいただいたから。お仕事、してますよー(泣)。世の中にランチ日記があるように、この日記は私の恋の日記なんです。ランチ日記を書いている人がランチばっかり食べているワケじゃないように、私も恋愛ばっかしているわけじゃなくて(いやそうありたいですが)たまには仕事もしてます。
さて。それではそれがどういう仕事かと言うと、美味しい物をひたすら食べてるだけです。えへへーん。
というわけで(?)、今週のランチ日記。
昨日は神楽坂にある小料理屋「宮した」でランチを食べた。偶然通りすがりに看板が目について、ああ、最近話題の、と思ってちょうど時間もよかったし入ることにした。手作り豆腐や刺身、卯の花など定番だけどしっかりと作られた料理。週末恐ろしく不規則だった(深夜4時に鉄板焼き)私の体にしみいる。雑居ビルの3階。カウンター7席とテーブル12席程度の小さな小料理屋。こういう店にふらりと立ち寄れるオトナでありたい(経済状態が)と思う。
私の中で食事をするというのは非常にポイントが高く、連れて行ってくれた店が良い店というだけで、好感度すごいアップ。それで注文の仕方が粋だったりすると、がくーんって来る。それだけで惚れる。その店にふさわしい楽しみ方でくつろげる人。センスがあるなあ、と思う。あ、そうだ。私と付き合う特典は、たぶんその人が喜んでもらえそうなレストランに連れて行ってあげられることです。職業柄、これはどういう人と行きたい店かって常に考えちゃう。あー。私もし男の子だったらもててたかな。
そして、本日は溜池は山王パークタワーの26階。「春秋」というダイニングバーにてランチ。入り口で身分証のチェックを受けエレベーターで一気にあがれば、そこにはドコモのオフィスとレストラン。「春秋」はその一つで、何がすばらしいかというと眺めがすばらしい。窓際の席はすべて一面のガラスに向かったカウンター式。夜ともなればイルミネーションの洪水。これ以上ないデートスポットです。食事はべつだんうまくもないがダイニングバーレベルでは合格なんじゃないでしょうか。値段も張るんで感動的なデートにはぴったり。ランチで私が頼んだのはホタテの天ぷらバジルソース丼。なんだそりゃって感じのどんぶりで、コーヒーと小菓子がついて1400円。ま、場所代っすね。結論は、バジルとご飯の相性はイマイチってことでした。あー。黒豚しゃぶポン酢丼(みたいな名前のやつ)にしとけばよかった。でもそれって超味の想像つくんだもん。なんだか珍しい物が食べたかったんだよ。でも今日のランチは楽しかった。本日はスペシャルゲストとして、姉にお越しいただいた。赤坂周辺で働く6歳上の姉。どれほど仲が良い姉妹だろう。恋人同士みたい。でも仕事の合間にちょっと合ってランチをするというのはとても新鮮で楽しめた。たとえ姉妹でもマンネリズムはだめってことね。
今週は、金曜日までずっと行かなければいけないお店でびっしり。さすがにくたびれてくる。美味しい物を食べるのって結構つかれるんだよ。別に美味しい物を食べなくてもいいやーって思う。と、今日はちょっと私の仕事の苦労話を書こうかと思ったのだけど、いざ考えてみたらそんなに苦しい仕事でもなかったです。明日もがんばるぞー。

*1:この日記では自分のことをこう呼びます