平気

Chartreuse2005-04-17

ガエル・ガルシア・ベルナルと寝る夢を見た。

いや、今までも福山雅治と付き合っている夢とかは見たことあるけど、その前後も会話も全くなく、ただたんにセックスをしているだけの夢なんて初めてみた。それがいやに鮮明で、体にはその感覚が残っているほどで、なんだか寝ている間に誰かと本当に寝ていたんじゃないかと思うほどだった。どれだけ飢えてるのだ私は、と思って思わず顔が赤らむけど、夢でこれほど鮮明にできるならお得かな、と思った。だから、今日は昼過ぎに起きて「バッド・エデュケーション」を観に行った。きゃー。昨日(今朝)夢で見たベルナルくんが。今回のラブシーンは男とだけでした。それがより一層私のイマジネーションをかき立てる、てワケじゃないですけど、ベルナル君はかっこいいと思う。くしゃって崩れる笑顔がたまらない。ペドロ・アルモドバル監督の作品は好きです。やっぱり「オール・アバウト・マイ・マザー」が一番好きですが、その次の「トーク・トゥー・ハー」も変態めいていてよかった。そういえば、「トーク・トゥー・ハー」を観たのは、かつての恋人が長期の旅に行く前日のこと。私の些細な一言が、その人の逆鱗に触れて私はものすごいひどい仕打ちで、デートをすっぽかされた。人の狂気を感じた。じっと連絡を待つのが辛くて、映画ならせめて2時間を、携帯を忘れて過ごすことができる。そう思って入った映画が「トーク・トゥー・ハー」で、そんな気分にはふさわしすぎるほど薄気味悪い映画だったが、狂気だけど純粋な愛の形がとてもよく分かって、私は始終泣き通しだったと思う。

その後、紀伊国屋で本を二冊買う。

世界文学を読みほどく (新潮選書)

世界文学を読みほどく (新潮選書)



四十日と四十夜のメルヘン

四十日と四十夜のメルヘン



帰り道、京王線の中で昨日の夜からの出来事を反芻する。

表参道で別れた後、アニエスのアンファンに行き、子供用の洋服を買う。子供用だからって、私の洋服と値段は変わらない。きれにラッピングしてもらう。カードには、何も書く言葉が浮かばなかったのでコートのポケットに入れて、彼の泊まっているホテルのフロントに預ける。


私は弱くてかっこわるい女の象徴。


そして意識のどこかの部屋にある、四角い白いベッドで眠る。


目覚めると、夜10時半。疲労は消えているけど、気怠さが支配する。
シャワーを浴びて、オレンジジュースをごくごくと飲み、昨夜からの出来事を反芻しようかと思った矢先、電話がなる。
「やほー!私!帰国したわよ。今なにしてんの?家?土曜日の夜に家にいるの!?まじでやめてよ。超かなしいじゃん!行くわよ飲みに! 12時下北沢!じゃね!」
先日帰国した中目黒の女王。有無を言わさず電話は切れる。かけ直してみたが圏外。おいってば。彼女は戦友。つまり飲み友達。昨秋結婚して渡濠したが 2週間ほど帰国するらしい。なんか帰国ラッシュだなー。彼女と飲むのはひさしぶり。それなりに気分ははしゃぐ。どうせ今晩は鬱と戦いながら本を読むか投函しない手紙を書くだけだし。
久しぶりの中目黒の女王は相変わらずキラキラ輝いて、このパワーにはいつでも感服。そして開口一番、私に「なに?男の匂いがするじゃん」と言う。そんなわずかな男の匂いすらかぎ分けるなんて、さすがは女王。まずは二人で乾杯。初っぱなからテキーラ。どんどん盛り上がってエキサイトして、テキーラテキーラテキーラ。彼女と飲むといつも螺旋階段を上がるように思う。上方から漏れてくる光の筋が狭い階段に蔓延する埃のひとつひとつを照らし出す。もうちょっとで屋上。もう少し飲めばいいの?そしてたいてい、外界に通じるドアの前で意識が途切れる。
2時。ひとしきり二人の話は終わって、呼び出し電話が始まる。女王は、美少年を呼び出せとうるさい。絶対でないよ、といいながら電話をかけると運悪く彼はでてしまい、付き合いの良い彼はのこのこと下北沢までやってきてしまう。結局女王の呼び出したもう一人の男の子と 4人で飲む。タクシーで移動した気がする。最後の店を出るともう完璧に夜が明けていて、このあけすけな世界にたじろぐ。魔法の夜がいきなり終わる。頼まれればいつでも寝るよ、という超親切な女王の友達の男に、必要になったら電話するねと帰宅して、シャワーを浴びようと洋服を脱いで、驚いた。胸に蝶が舞っている。
烙印?
そうだ。 3軒目のお店でヘナ・タトゥーをやった。こんなところにタトゥーなんてして。あーあ。
そして、金曜日の夜のデート相手の顔が、どうしても、思い出せない。残像となって、遙かかなたに消えていく。

おっと。今、メールが来た。「無事に帰れた?」

たぶん。無事。たぶんね。
あなたと別れてから、その足で昔の恋人に逢って、その後戦友と美少年と朝まで飲み明かし、夢の中でガエル・ガルシア・ベルナルと寝て、本人に会いに映画館に行ったら、直近に別れた恋人と別れるきっかけになった事柄を思い出した。胸には蝶が舞っている。

たぶん。無事。たぶん。