不特定多数

かつての恋人とその恋人と、かつてのかつての既婚の恋人と4人で食事をする、というのはとてもファンタスティックな予定です。
スケジュール帳に、「ディナー」とだけ記すには少し物足りないような気がするが、それ以上に書きようがないからやっぱり「ディナー」と記入する。
これが異常かそうでないかは、どうでもいい。私たち4人はきっととてもうち解けた楽しい時間を過ごすだろう。その和やかなひとときの中で、私はそれを私が起こした些細な奇蹟のように錯覚して小さな満足を覚えるかもしれない。嫌なのは、帰り道の私。今だけは死ねない、と唱えながら、隕石の落下や宇宙人の来襲を祈るのだろう。


それでも、逢いたい。


「この一年間に不特定多数との異性と性的接触をもった」「同性と性的接触をもった」という献血の問診票の問いの前で、思わず手を止めて、あの美少年とは寝まいと思った。
たとえ私が美少年限定でしか寝てなくても、彼が不特定多数の女性と性的接触を持っていたら、私は不特定多数の同性との性的接触を持ったことになってしまうではありませぬか。献血の楽しみを、そんなことで奪われたらたまらないわ。


そんなことを言っている場合ではなく、今日はデートです。デート。デート。デート。
久しぶりに新しい人とデートです。うわあ、どきどきするー。