塔の王女

軽く1ダース以上の女の子と寝ている男友達が、本命の彼女には「唯一君だけさ」と言っていることを知って、ミルミル(会社の冷蔵庫に落ちてた)を吹いてしまった。
いや、私だって、正直に数を告白することはまずないけど、それでもせめて「3人くらい」とか答えとくのがなんというか、普通だと思っていた。10人を3人と偽るのはたいした罪じゃないけど、15人を0とカウントするのは詐欺だと思うんだよなー。今まで寝た相手にもなんか悪いじゃん。10人が3人ならば、各人がちょっとずつ凝縮されて3人という数に圧縮されるわけだけど、15人が0って、ちょっとひどくない?カウント0。

というのは私の勝手な理屈かもしれないし、まあ寝た数なんて齢28ともなると自分にとっても相手にとってもうどうでもよくなるんだが、いや、それにしてもばれるでしょ、と訊くと、ばれてないそうだ。

それはすごい。

こういう男はもっとも質の悪い男で、秘密は墓場までもっていくタイプ。平気な顔をして嘘をつくんだ。本心は最後の最後まで誰にも解らない。「君にだけは」。そういう台詞をあらゆる場面で言ってきたんだろう。「君にだけは」。
まあいい。今まで、嫌というほど、「真実の告白」に付き合わされてきた。
報復のための真実の告白、自衛のための真実の告白、放棄のための真実の告白・・・。
真実を告白されて、ありがたかった試しなんかない。

最後まで貫き通せる嘘がいい。

さて。
そんな嘘で固められたお城に、向かうかどうか迷っているしゃるです。
嘘の城では、嘘の鎧は通用しない。私は、愛用している中途半端な防具を脱ぎ捨てて、身ひとつで向かわなくてはならないのだろう。
さて。どうしたものかしら。