The beautiful island

Chartreuse2007-09-24

ケアンズにいます。
「うきゃあ!ぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっ」
という信号の音にもようやくなれた。最初あれが歩いて良いよって言う合図だとはどうして思えず、立ちつくしていたら、こっちの信号ってすぐ変わるのね。いっつも赤になっちゃって信号が渡れないの。

今日のケアンズは晴れと曇りとスコールが入れ替わり立ち替わりやってくる日で、私たちはレンタカーを借りてクランダへ行ってきました。
こんな時期に私がオーストラリアなんかにいるのはもちろん仕事で、ある媒体の取材です。一緒に来ているのは仕事でも私生活でも最高のパートナーである同居人(なんか言い回しがアメリカドラマ風じゃない?)。私たちは、普段は共に非常に忙しくしているとはいえ、こうしてときどきは一緒に仕事で過ごせる日があるので、恵まれたカップルと言えるだろう。
今回はリゾートの特集で、「誰も知らないオーストラリア」って感じの切り口になります。
たしかにケアンズはうんざりする街だけど、昨日まで訪れていたOrpheus Island http://www.ats.co.jp/orpheus/resort/index.htmlという場所は、素晴らしいとしか言いようがなかった。
それはグレートバリアリーフに浮かぶ島で、一島にひとつのリゾートしかない。それもわずか21室で15歳未満は立ち入り禁止。子供嫌いの私にはこれ以上ない環境です。Orpheusに行くには、ケアンズもしくはタウンズビルからOrpheusが催行する8人のりの水上飛行機に乗り換えます。島にはリゾートの宿泊客以外はいることすらできない。
言い古された言葉だけど、島は地上の楽園。ビーチに続く芝生の庭に面して建つコテージは、木々にほどよく隠されて、プライベート感と開放感が絶妙。部屋はナチュラルでシンプル。不必要なものはひとつもなく、必要なものはすべてある。21室しかないからゲスト同士は顔見知りになり、すれ違うたびに挨拶をする。「今日は何をしたの?」「スノーケルツアーはどうだった?」。みんなとっても品がよく親切だこと。だけど島にはくつろぐ場所がいやと言うほどあるから目障りに思うほどすれ違うことは決してない。リゾートの中心にはダイニングとラウンジがあり、ラウンジにはいつでもお茶とお菓子がおいてありみなここで思い思いにくつろぐ。尤も、朝も昼も夜も、十分過ぎるほどのボリュームの食事がでるから、お菓子をつまむ暇なんてほとんどないけれど。
島を包む光はあまりにも美しく、鳥がいつもどこかで囀っていて、空も海も山も人も、誰もが輝く。
私たちは、二人きりで小型エンジン付きのディンギー(小船)を借りて、ピクニックランチを持って青い海にでかけ、誰もいない砂浜に降りる。ここでスノーケルやランチを楽しんで、再びすきな時間にリゾートに戻る。色とりどりの魚が泳ぐ海を二人でスノーケリングし、辺り一面を燃え尽くすように激しく美しいサンセットをみながらクルージングした。朝の島をトレッキングして美しい鳥を指さし、午後はビーチのハンモックに揺られながらカクテルを飲んだ。幸せすぎるひととき。
この島には、はっきり言って金持ちしかくることができない。一泊一人750ドル。二人で1500ドル。1泊で帰る客はほとんどおらず、たいてい3泊かそれ以上する。島にはお金のことなんか気にする人は一人もおらず、実際に何を飲んでもどういうアクティビティーに参加しても一切サインや支払いを求められることはないし、それがいくらかもほとんどの場合わからない。だけどちゃりんちゃりんときちんと課金されていて、チェックアウトの際に支払う。
この島は素朴で豪華さとは無縁。ビーチリゾートだからゲストの服装もラフだし、ブランドもののバッグを持っている人も一人もいないが、みなの社交性や礼儀正しさをみるとハイソサエティーなライフスタイルをうかがい知ることができる。ああ。非常に勉強になったよ。本当に美しい自然を自然のままのように感じるためには、大金を払わなくちゃならないなんて、なんて皮肉だこと。
ともあれ、私たちは、もちろん仕事を第一に果たしながら、この美しく愛らしいリゾートを十分堪能した。
ここのところ忙しくてとくに疎遠だった私たちも、このドラマティックな島に否応なく盛り上がる。だけど、いつもよりもずっと長い愛撫に、背中を這う唇に、肩越しの窓から椰子の木の間をすり抜けて部屋にかけらとなる午後の光を見つめながら、私は今この、私に上にいる人がもし彼ではない人ならば、という危うい想像をする。そしてその想像が私を駆り立てる。
どうして、いつも幸せの絶頂で私は100%の幸せを手にできないのだろう。手にしないのだろう。どうして、自らそのタイミングを逃すのかしら。
くすりと笑う余裕は、残ってる?
分からない。誰に向かって愛を叫んでいいのかわからない。