ヨコハマセレブデート

Chartreuse2006-11-04

文化の日、とあるパーティーの抽選であたった、『世界最高の車 ロールスロイスファントム運転手付き8時間利用権(24万円相当)』チケットを利用して、ヨコハマセレブデートに行ってきました。

まずは銀座で用事があったので、帝国ホテルにて待ち合わせ。
現れた車は、おー!すげーっ。歯をむいたような((`曲´#)←こんな感じ)フロントグリルに、観音開きの扉。内部は音響もすばらしいDVDプレイヤー(三大テノールが朗々と歌っておりました)と革張りのシート(牛11頭分の革を使ったんですって)。そしてなんといっても柔和な物腰で安心感のあるショーファー(運転手)が素敵です。
一路、横浜へ。高速では100キロだしても全く振動と音を感じない。せいぜい50キロくらいの感覚。何が世界一の車なんだかわからなかったけど、なるほどこういうことでしたか。

メインはニューグランドホテルでのディナー。18時の予約の時間にはまだ少し時間があったので山手とか連れの強い希望により競馬場跡とかをぐるりと廻ってもらう。さすがにこんな車に乗っていると、人々の注目の視線が痛いです。ある子供が手を振ってくれたので皇太子さまよろしく手を振り返したら、外からは一切中は見えないんですって。あらら残念。

全く風光明媚ではない港の見える丘公園でおろしてもらってちょっと散策。乗降の際はショーファーがドアをあけて頭をぶつけないように注意してくれるのですが、こんな人混みの中で降りるときはどんな重鎮かと好奇の目が注がれてちょっと(かなり)恥ずかしいです。できるだけ一目を阻んで生きていきたい私としてはなるべく足早に車から遠ざかってしまいました。

その後、横浜ニューグランドへ。ところが、ニューグランド一帯、どうやら全面交通規制を行っているようです。信号15分以上赤から変わんない。こはいかに。そんで15分後、一軍の白バイと車が通りすぎていって規制解除。後でニューグランドの人に聞いたんですけど、今日はちょうど天皇陛下がこのニューグランドに寄ってご休憩をされたそうで、その影響だったらしい。あらやだ。天皇とバッティング。

でまあお腹ぺこぺこで、ニューグランドのメインダイニング、「ル・ノルマンディー」へ。ここはジャケットの必要なレストランです。なんといっても港の眺めが素敵で、早くから予約していたこともあり、お席は港の目の前のカップル席。目の前には氷川丸。湾を行き交うライトアップされた船を眺めながらまずはシャンパンを。

もともと私は11月に入ったらジビエが食べたくて、それを目的に来たんです。
コースは1万円と、14000円、17000円があり、後者二つでさんざん迷ったが、14000円のコースのメインもジビエに変えられるということと、今日は運転手さんを待たせており、口直しのグラニテまでつくフルコースにするとおそらく軽く3時間半はディナーにかかってしまうだろうということで、14000円のコースにします。
まずは、
「フランス産セップ茸のスープとコンソメロワイヤル、セップ茸のクルスティアン添え」

おいしくて思わず笑っちゃいます。スープはコンソメとクリームの二層仕立て。キノコの風味がすばらしい。だいたいこういうスープをきちんと作れるところというのはその後も期待できます。逆にここが洗練されていないと、後の料理もだいたい想像がつく。

次が「様々な食感を織りまぜた20数種類の 秋野菜にイベリコ豚の生ハムを添えて」

これもすごいです。サラダを食べて、おいしい!と思うことっておそらく希なはず。たぶん、たぶんだけど、体に良いとかいう刷り込みが人々を「野菜好き」にさせているんであって、私は無理にフュージョンダイニングとかイタリアンとかでサラダを頼む必要はないとおもっているのですが・・・。まあこってりしたまずいものを食べて太るよりは、せめて体に良いものを食べておこうとおもって、合コンとかでサラダを注文することはあるけれど、あれは「女の子はサラダが好き」なのではなく、総合的に天秤にかけた結果である。と、前置きが長くなった。このサラダはおいしい。今、メニューを見返してみて初めて知ったのだけど20数種類の野菜が使われているんですってね。そして、ビーツのソースが添えられている。それが和えられているのではなく添えられているので、一口、一口が全く違う味わいなのです。食べるごとに新鮮な驚き。素材のよさもさることながら、シェフの気遣いが随所に感じられます。

次が「フランス産野生の茸のフリカッセ、北海道産帆立貝とともに」

こちらもすばらしいですね。まず、ホタテに味がある。というと変に聞こえるかもしれないけれど、新鮮なホタテそのままではなくて、きちんと調理が施してあるということ。それに香り豊かなキノコのフリカッセ。もう言うことないです。

次が「鮮魚のポワレ、シェフスタイル」

本日はアイナメ。二種のソース、そして、筒状に仕上げた薄いポテトに野菜をつめた付け合わせとともに。
これは、まあ想像を裏切らない味です。私には若干辛く感じられたのですが、これはここのスタイルだと言える程度の塩加減。特に不満はないです。付け合わせがすばらしい。

さて、メインですが、ジビエをお願いしたところ、コースに応じてアレンジしてくれたようなので、正式な名前はわからないのですが、山鳩の赤ワイン煮のようなもの。

私の予想に反して(以前マキシム・ド・パリで食べたときには一羽のグリルがでてきた)、赤ワインソース。一瞬銀の蓋を開けたときには、特有の獣の匂いが立ち上ります。これは、なれてない人には辛いかも。味わいは、寝かせた肉ならではの少しねっとりとした舌触り、そしてコク。山鳩の足や皮、肝まで入っているのですが、さすが、鳩であっても鳥皮はおいしい。ぱりぱりとした皮。後で炭火かと聞いたところ、炭火にすると山鳩の場合脂が落ちすぎてぱさぱさになるため、専用のグリルで焼くそうです。肝もこりこりとしておいしい。秋はやっぱりジビエです、ジビエ。血湧き肉躍るジビエ
そうそう。忘れてはならないのが、ここのワインの品揃えとシェフソムリエの鈴木さんの存在です。ちょっと私の体調が思わしくなかったため今日はお酒を控えようと(今更ですが!)、ハーフの手頃な赤ワインを、と指示をお願いしたところ、勧められたのは1万2000円以上のもの。はっきり言ってハーフで1万2000円は、私の想定範囲外の値段です。フルボトルならまだしも、ハーフで。だけど、彼は譲らない。確固とした信念があるようなので、おすすめの1989年の「Chateau Lagrange POMEROL」をいただきます。しかし、ラグランジュと言ったら、たいていサンジュリアンですよね。ポムロールって珍しい・・・。もちろん、熟成が進んだワインだけあってきちんとデキャンタリング。
これが、まあ山鳩とぴったりなんです。双方のクセ、というか風味を高めあう。メインを山鳩にしたところをしっかり考えた上でのセレクト。すばらしいです。ゆっくりと飲みすすめるうちに、だんだんとキノコや落ち葉の香りが漂ってくる。渋みはほどよく消え、適度な甘さに。良いワインを教えてくれた鈴木さんに感謝したいです。いつも思うのですが、お食事に行ったとき本当に後で心に残るのは、すばらしいシェフ、サービス係、ソムリエに様々なことを教わったとき。鈴木さんは、本当に信頼できるすばらしいソムリエでした。「ワインは悪魔ですよ。今日一段、ワインのハードルを越えられた。後には戻れません」。鈴木さんはそうおっしゃっていたけれど、本当にそうですね。こうしてハードルは一段一段上に上がっていって、いくらお金があっても足りない・・・。がんばって稼ごう・・・私。

そんなこんなですばらしいお食事でした。最後に、サービス係の人が、実は今シーズン山鳩を初めて注文したのが私たちだったらしく、感想を聞きにきました。かなり心配していらっしゃったご様子。苦手な人は苦手だろうけど、好きな人にはたまらないでしょう、と正直に申し上げておきました。これからも様々なジビエが入荷するとのこと。楽しみです。

さて、ここまで読んで皆さん気になるのはお値段でしょうから、参考までに。
グラスシャンパン2杯3570円、ディナー14000円×2=29400円、ペリエ2本×2=1050円、ハーフワイン12600円+サービス料で51282円です。
私の体調がよければ17000円のコースでおそらく白のハーフと赤のボトルワインを頼んでいたでしょうからそうしたら軽く7万ですねー。

でも、まあ価値はあると思います。

そして帰途に。ショーファーは入り口で車の横に立って待っている。別れるときに、車の中で居眠りでもしててくださいと言っておけばよかったー。気の毒なことをしました。
このショーファーにしても、すばらしいサービス精神をもっている。生活のランクをアップさせるということは、意識の高い人々に出会う機会が増えるということ。それは、私の生きる姿勢を叱咤してくれます。基本的に怠け者なので仕事は嫌いだ。毎日いやいや行くのには変わりないが、課せられたものに対しては、全力を尽くすこと。それは「トイレ掃除を3ヶ月欠かさずにやると、なんでも願いが叶う」的な迷信かもしれないが、あながち嘘でもないと、私は思うのです。
なんだか、私はとても当たり前なことを言う人間になってしまってしごくつまらないのですが、策略とか陰謀とか、氾濫する世の中ですが、意外とちょっとした心がけで人生は本当に楽しい。
学んだ一日でした。