心の大地

Chartreuse2006-05-08

楽しいゴールデンウィークが終わり、やるせない気分です。
ゴールデンウィークは東京でのんびり過ごしました。「東京でのんびり過ごす」というのはとてもすてきな響きで、例えば銀座に恋人とお買い物に行って、自分ようにものすごくキュートなサンダルと恋人用の初夏のジャケットを買ったあと、昼下がりニュートーキョーでエビス&エビス(エビスとエビスの黒のハーフ&ハーフ)を飲むとか、自由が丘まで足を伸ばして食器を見て駅前のエクセルシオールハートランドを飲んだり、絶好の行楽日和に家で「恋に落ちて」を観ながら新しいソファに寝ころんでヒューガルデンを飲むとか、まあとにかくこの連休は世界のあらゆるビールを飲んだわけですが、それにしても世の中には美味しいビールがたくさんあるのにうちの近くの酒屋にはハートランドは仕方ないにしてもエビスすらなくて、せめて発泡酒第三のビールと「美味しいビール」は三等分くらいで売ってほしいものです。うちの近所には気の利いた酒屋と美味しいパン屋がないことが、私のこの家での唯一の不満で、あまりの酒屋の気のきかなさに怒った私はいつもは3ケースを注文するエビスを、今回は1ケースにして、もう1ケースをエビス黒、もう1ケースをハートランドにしてはどうかと鼻息荒く恋人に提案したのだが、意外なほどあっさり受け入れられてちょっと拍子抜けだ。
ハートランドは良いビールです。なんといってもビール瓶の色がきれい。

そうだ。もうひとつ連休にはイベントがあり、恵比寿のフレンチレストラン「モナリザ」に行ったんでした。こないだ「チューボーですよ」にでてましたね、モナリザ。私の愛する河野透シェフ。非常に繊細で美しい料理を作ります。この店は私が今、ちょっと気取って行きたいレストランのナンバーワンなのですが、ここは、メインよりも前菜が特にすばらしく、例えばホワイトアスパラガスのブランマンジェとかフォアグラと筍のキャラメリゼ、新玉葱のピューレとか、目玉がこぼれ落ちるほど美味しいです。当初は1万円のメニューBにしようと思ってたのだけど(下は6800円から)、なんとなくこういうときに一番高いものを選んでしまうのが私たちのダメなところで、だからお金がさっぱりたまらない。「しょっちゅう行くわけじゃないから」という結局は貧乏根性なんですよねー。だけど、やっぱりシェフの一番気合いを入れたものが食べたい。
頂いたのは食前にブルーベリーのシャンパン、グラスのシャブリ、そしてボトルでブルゴーニュの赤。ワインは全てがすばらしく、いずれもシェフがとてもお気に召したものだからオリジナルラベルまで作ってしまったというワインでした。偶然にもこの間箱根の富士屋ホテルでいただいたワインと同じピノ・ノワールで(あちらはサンタバーバラでしたが)、これからちょっとピノ・ノワールを意識して飲んでみようと思う。メインは恋人がイベリコ豚のグリエ、私が牛タンのグリエ。ここはクライマックスがメインにあるというよりは、全てのお皿が均等に高レベル。メインで、ぐえーってなることがない(コースの場合結構あるよね、そういうことが)、大人なレストランです。
だけど、ここからが結構長くて、まず、チーズの盛り合わせ、食後酒、フルーツのスープ、タルトの盛り合わせ、本日のアイス、エスプレッソ、そして小さなマドレーヌとグレープフルーツの皮の砂糖漬けとハーブティーがでてきた。延々とデザートがでてきてちょっとびっくり。食事は締めて4時間半。楽しいひとときでした。
まあ決して手頃なレストランではないから、皆様も記念日などには是非行って頂きたいと思います。丸ビルにも支店があって、あちらはなんといっても36階という眺めがすばらしいけれど、私は恵比寿の路地裏にあるこの落ち着いた雰囲気のモナリザが好き。
そうだ、ちょっと驚いたのは、私ぐらいの年ごろの女の子同士の二人連れが二組いたこと。好奇心旺盛なのはいいけど、やっぱしなんとなく場違いっぽい。田んぼの撮影に行くADがハイヒールとミニスカート的な場違い感がある(おっと知り合いの悪口になってしまった)。さらに女の子同士は声がでかい。ビクトリアとベッカムの話とか靖国神社の屋台のレベルが高いとか、どうして2テーブル離れた私がそんな彼女たちのどうでもいい話を覚えてなくてはならないのだろう。じゃあどうしたらいいかというと、まあ声の大きさについては本人たちがいずれ気がついてくれるのを気長に待つとして、一緒に行ってくれる、あるいは連れて行けるような彼氏や父やこのさい上司などがいない女の子の場合、結局はそういうレストランに行ってはならないんだと思う。こういうレストランにそぐう相手を作るべきだ。もし私がサーフィンがしたいならサーファーとつきあうし、筋肉フェチならばボディービルダーとつきあう。目的に応じて恋人を作るべきだ、っていやだなあ、五月蠅い27女。

このゴールデンウィーク中にめでたい話をいくつも聞いた。つまりお友達3組が結婚を決めたようだ。私も結婚しようかと思うのだけど、思いの外両親が反対で気分が萎えます。やっぱり祝福してほしかったなー。どうしようかなー。うっかりしているとどんどん月日は過ぎてしまって、私はまだいいけど、例えば恋人が45歳で子供が生まれたとしても私の子供が成人するときに恋人は65歳だ。2年半あるとはいえ、あんまり時間がないんだ。そう思うととたんに哀しくなって、いきなり恋人に「長生きしてね」と言うと、恋人は私を抱きしめて「長生きするよ」と言ってくれたので、恋人の生命線は私の手に息も切れ切れに走る皺と違ってそれはそれはなんの迷いもなくくっきりと手首の付け根まで美しく伸びているのだし、焦る必要はないか、と思う。