空が嘘を全部知るのよ

そして、ひと粒のひかり」という映画を見た。かみ砕いて言えば、コロンビアのバラ農園で働く17歳のマリアという少女(というかもう女ですね)が、麻薬の運び屋をやる話です。
結構ヘビーな話だったんだけど、良い映画でした。
私は何か読んだり観たりしても批評するよりは「自分の人生に活かす」ことを重要視する狭量な女なんですが、この映画を観て「希望がもてた」点が良かった。
さて。何に希望を持ったのかというと、このところ「やっぱ子供なんて、めんどくさいし、お金かかるし、私お金ないし、もともと子供嫌いだし、産むのやーめた」って思ってたんですが、この映画を観て、やっぱり産まなくちゃな、と思った。というのは、私は少子化を深刻に考える社会派な一面があるんですが、それだけじゃなくて、やっぱり子供は、かけがえなく、かわいいんだろう。
追いつめられた状況で、残り少ない現金をはたいて、産婦人科に行って胎動を聴くシーンが印象的だった。結局マリアは子供と自分の未来のために、ひと粒程度のチャンスにかけて決断をするんですが、それがすごく、良かったんです。
父親にも誰にも頼らずに、子供と自分を守ろうとする強さが。



そうしたら、私はこんなぬくぬくしたところで恋人の子供が愛せないとかどーしよーもないことをうだうだ言ってないで、さっさとあの氷のような人の所に行って、針でコンドームに穴でも空ければ?と思いながら、すっかりはげになった銀杏の木の下を歩いたりするけれど、影響されやすい性格とはいえ、いきなりそんなことはしない。パリまでの飛行機代金、今、ないし。せいぜい「夕ご飯どうする?」ていう恋人からのメールを42分くらい無視するっていう子供じみた反抗をしてみて、すぐにお腹がぐーってなって「ホワイトシチュー」なんて返信をする。


無理して嫌いになるのと、 無理して好きになるのは、
無理して好きになる方がずっと難しいねえ。


無理して嫌いになるのは実に身勝手に、個人的な理由からだけど、
無理して好きになるのは必要に迫られているからであって、
とってもハードだ。


世の中には、好きなものがいっぱいあるけれど、
努力して好きになったことなんてなかった。


こんな感情を抱くのは生まれて初めてで、
歳をとると、好きになるのにも一苦労なんだろうか。


とりあえず私はセックスにも飽きてきたので、本を読むことにする。白洲正子の「私の百人一首」とジッドの「田園交響楽」。性欲と読書欲は反比例するのか、と思ったんだけど、と、いうよりは、寝る前の時間をセックスに費やすか読書に費やすかという問題で、欲望の問題ではないのかもしれない。


昨日はiTunesMusicStoreでキリンジの「影の歌」を購入してご満悦。ビッグバンドというのはいいですね。
気前よく外食をしたり旅行をしていたので、今月はもう残高がゼロに限りなく近くて、心から「モーターサイクル・ダイアリーズ」のDVDが欲しくてしょうがないのだけど買えなくて哀しいです。


ああ、どっかに落ちてないかな。

私の百人一首

私の百人一首

田園交響楽 (新潮文庫)

田園交響楽 (新潮文庫)