流出
もともとニュースや世相に疎い私ですが、この数日間はさらに悪化しています。今日は久しぶりに世界の情勢を知ろうとネットを見るも、「ねえバブルス」に夢中になるばかり(http://www.ohmj.com/bubbles/index.html)。
今日私の心に最も触れたニュースは、穂村弘が結婚していたということ。
おめでとうございます。お幸せに。なんとなく、淋しい気もしますが、でも嬉しいです。
6月16日にジュンク堂池袋店にて穂村弘と角田光代のトークセッションがあるらしく、今日はその予約の電話をかけてみた。 それが今日、現実に繋がった唯一の出来事。6月 16日までには東京に戻るよ。
朝まで起きていて、寝て起きたら 18時過ぎだった。あーもう。どんどん人間でなくなっていく。
目覚めたら少し離れた所で、美少年が私の鞄からガルシア=マルケスの「百年の孤独」をひっぱりだして読んでいて、ああなるほどな、この人は、ファンタジーではなくて、マジック・リアリズムなのかもしれない、と、まだ半分寝ぼけた頭でぼんやりと思う。遠近感を失って、手を伸ばして彼に触れようと思ったのだけど、精一杯手を伸ばしても彼までの距離は、彼が同じくらい手を伸ばしてくれないと触れられないくらい。「ねえ」と声をだしてみるけれど、実際に声になっていたのか、ならなかったのか、彼は本から顔をあげない。触れるのは諦める。
沖縄を思い出した。
1泊 1500円のゲストハウスに泊まったときのこと。私は普通のビジネスホテルに泊まりたかったのだけど、ゲストハウスに泊まって記事を書くというのが仕事だったのだからしょうがない。チェックインしたのは、世界を白く飛ばすほど強い陽射しが支配する午後 2時のこと。木造の平屋に一歩はいると一瞬盲目になる。ようやく目が慣れると、雑然とした部屋。そこかしこで布団にくるまって若者が寝ている。どうして午後2時に、こんなところで寝ているのか私には見当も付かない。中にはもうここで暮らして 1ヶ月だと言う人もいる。夕方自炊がはじまり、みんなでカレーを食べる。一人 材料費200円を支払う。その後、夜更けまでギターを弾いたり飲んだりしてだらだらと過ごす。 4人部屋でまるで家族のように過ごす女の子たち。みんなとても親切で、人の問題に親身になる。この部屋の、この家のゲストは、個人なのか、集団なのか、分からない。私は、気持ち悪くなる。ここは自己責任の世界だ、と言う。でも私には、人が流れ出して交わっていきたがっているように、見えるのよ。
どうしてそんなことを思い出したのかな。
それから、ごはんを作って食べた。私たちにはもはや、寝ることと食べることしか残されていないように思う。でも大丈夫。ここには二人きりなのだから、私の枠組みが崩れて流れ出していったとしても、彼と交わえるのか、溶けて床のシミになるかどちらか。
この不機嫌の理由はなに?
海がみたい。
波の音が聞きたいと思う。
ちょっと車を飛ばして、海まで行ってくることにします。
- 作者: G.ガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arques,鼓直
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 1,110回
- この商品を含むブログ (185件) を見る