こんな無益な日記でも、ときどき読んで下さっている方がいて、励ましていただいたり、共感していただいたり、たまにはお叱りを受けたり(笑)して、何にせよ私の日記が誰かの心に触れているというのはうれしいです。私がこんな個人的なことをうだうだと書いているのは、単に文章を書くのが好きだからであって、ならば人目に触れない日記とか投函しない手紙でもいいんじゃないかと、ときどき思ったりもしますが、やっぱり、昨日のようなトラバをいただくと、本当にやっていて良かった、と思います。id:ishmaelさん。先日私が偶然手にとって戦慄を覚えたホーソーンについて、いろいろと教えて頂きました。恥ずかしながらポーもメルヴィルも未読。すぐにでも読みたい!ありがとうishmaelさん!これからもどうぞよろしくお願いします。



昨日は待望のラーメンズの「第15公演アリス」へ。この一年間で一番幸福な瞬間でした。ラーメンズのコントは本当に爽快で、私は他のお笑いのコントを見ていると嫌な気分になったり惨めな気分になることがあるんですが、彼らにはそれがない。どのコントもハイレベルでしたが、一番最初のあの視点がびゅんびゅん動くようなコントはすごいよかった。そう、コントでも恋人でも(並列)一緒にいて、自由自在な視点の動きと、ジェットコースターに乗っているようなスピード感が好き。ファストフードはあまり食べないが、パンや具が自由に選べるサブウェイは好き。ちょっと違った。兎に角。最高に楽しかったです。昨日の片桐さんによると「アリス」の意味は、「雨の日の、力士は、素顔」らしいです。

あまりにも楽しくてテンションがあがりきって、帰宅して寝る前に急にテンションががくんと落ちて落ちすぎて、雨の音を聞きながら、なかなか訪れない眠りに、電気をつけて、本を開いてみては、頭が重くてまた消すと、暗闇に体の芯が染まって行きそうで、結局起きあがってレモンハートデメララをストレートで少し飲む。何か音楽を聴こうとラックを探すけど目につくのはどの曲もなにがしかの想い出があるものばかりで、結局何も聴けない。仕方がないから旅行の計画をたてる。お。ウィーンでは宮殿で催されるヨハン・シュトラウスのコンサートを聴こう。ネットでとれるしな。夏のヴェニスって悪臭がひどいっていうけど、どうなのかしら。と思っていたら、ようやく眠くなってごそごそとベッドに戻る。

静かな雨の朝。あまりにも寒くて、毛布を引き寄せると、顔に毛布らしからぬ堅いものがあたる。眼を開かなくても、わかる。それは、記憶の奥底に封印してある、毛布の焦げ痕。想い出の、かけらが降ってくる。
2月のある音のするくらい冷え切った夜。灯した蝋燭。毛布にくるまって、じゃれ合っていつの間にか、炎に被さって、やがて蔓延する煙に慌てて、飲んでいたジントニックを、毛布にかけて、びしょぬれにして笑って。

ああ、あのとき私、死んでしまえば良かったのに。

そして、自分の暗さに、未だに焦げた毛布を(しかも二枚も)使っている自分のずぼらに、笑って起きる。


昨日同僚のチョコ女に、「sumikkoさん*1は調子良いときとそうでないときがはっきりわかるのね。失恋でもしたの?うふふ。顔色悪いし、服装も手抜きだし、髪もぼさぼさよ♪」と言われたので、メイクはきちんとすることにする。明日美容院にも行こう。洋服は、どうしようかな。アニエスの紫の花柄のシャツにしよう。5年くらい前に買ったのだけど、今期リバイバルで同じものがでてたわ。さすがに私のはくたびれてるけど。今日は寒いからブーツでも許されるだろう。私はブーツが好き。もしくはミュールが好き。中間がない。あー。新しい洋服が欲しい。靴が欲しい。アクセサリーが欲しい。あら物欲が戻ってきたのね。いらっしゃいまし。


水曜日の恒例、ヴァージンシネマズ成瀬巳喜男の「女が階段を上がる時」を観る。成瀬巳喜男のためにここに通うのはもう5回目。2005年の春、唯一確かだったものとして、私の記憶に残るだろう。この特集は10回で終了で、あと一月でこの習慣が断ち切られるのもちょうどいい。六本木ヒルズには今、「日本におけるドイツ2005/2006」とかで、派手にペインティングされてばんざいをしたクマが127体並んでいてとてもハッピー。すみません写真撮って頂けますかという観光客ををなるべく避けて歩いていたのに、大阪弁のおばさんたちは数十メートル(いや言い過ぎた)先の私を呼び止め、カメラを押しつける。原色のおばさん4人がばんざいをしクマとシンパシーを得ている写真を撮る。とたんに、なにもかも非現実的なものに感じる。
駅に向かうため、通り過ぎたクリオブルーのディスプレイで、死ぬほどかわいい時計を見つけた。春の限定ボックス。27300円。ブルーとピンクとホワイトのシリコンベルト3本がついた時計。ああ!かわいい!かわいい!かわいい!欲しい!!手に入れた自分の幸福を想像する。たぶん数日間ははしゃげる。それでも今の私にはこの時計を買う余裕すらないことに気づく。欲しいアクセサリーが身につけられなくて、生きてる価値があるかしら。そしてその生きる価値がたかだか27300円だということと、しかもそれすら手にいれられない、私。あーあ。せめてお昼は、大好きなベーグルでも食べようかと思ったけど、恐ろしく要領の悪い店員が(たぶんあのベーグルチェーン店の採用基準に、気の抜けたサービスができるか、という項目があるのだろう)長蛇の列をこしらえていて、ああもう、私の小さな幸せのかけらすら、落としても落としても、カラスが食べてしまうのね。だけど防鳥ネットを張ってしまえば、青い鳥も白い鳩もコウノトリも来なくなるし。いいわ。もうどんな鳥でも「Come On!」。いきなり地下鉄で叫んだのはiPodの音楽に思わずシンクロしたからだというように周囲を納得させ、おっと今日って平日?仕事、仕事をしなくちゃと思いだし、地下鉄に飛び乗る。そう、ずっと私、遊んでるように見えるでしょ。実はお仕事してるんですよ。一応。

*1:この日記では自分のことをこう呼びます