バベットの晩餐会

若かりしころは、取材で一週間毎日ラーメン5杯ずつ食べさせられたり、北海道ソフトクリーム30ケ食べ比べとかしたりした。
今では、それなりのフレンチレストランだとか料亭だとかに取材に行ける身になりました。やっぱり、こっちの方が楽しいです。ラーメン100杯ももちろんすばらしい仕事ではあるが、ラーメン一杯について語るには限界がある。
一流の料理人にインタビューするのは、とてもとても楽しいことで、それは料理であろうが、書道であろうが、花火師であろうが変わりないんだけど、そこで特に料理に魅力を感じるのは、私が単に食べることがすきだからです。
で、普段は滅多に食べることができないのだけど、本日のランチはお招きにあずかり、広尾にある某フレンチレストランで、スペシャルコースをいただきまいた。

詳しくいうとすぐにばれちゃうので、記述をぼかしますが、来年3月に東海地方にオープンするの高層ビルの42階にフランスで三つ星をとり続けているオーベルジュが初日本出店します。そのお披露目会というわけで、フランスからシェフが来て、腕をふるってくれた。

本日のメニュー
フォアグラのパテ トカイピノグリワインのゼリー寄せ

カエルのムース包み ポール・エルベルランのスペシャリテ

フォアグラを抱いた小鳩のキャベツ包み トリュフソース仕立て

エルベルランのペシェ ピスタチオアイスとシャンパンのソース

(すべてフランス語表記のため、しゃる訳)

これにあわせるワインが 
Trimbach Pinot Gris Cuvee Particuliere 2003
Trimbach Riesling Cuvee Frederic Emile 1989
Chateau Bahans Haut-Brion 1998
Trimbach Gewuratraminer Selection de Grains Nobles 1989

です。

本当に、すばらしく美味しい料理たちでございました。
フォアグラのムースは、かりかりに焼いたブリオシュに乗せて食べるのですが、
白ワインのゼリーが濃厚なフォアグラのパテの風味を引き立て、かつ後味を爽やかに引き締めます。これに白ワインを合わせるの?て思ったけど、かえってそれが良い。あわせる白ワインはドライだけどにおやかで、ナッツや蜂蜜の香り。味わいはすっきり、草原を思わせます。

カエルのムースってなんじゃらほいって思ってたけど、白身魚のムースの中にカエルの肉が入り、その上に濃厚なトマトのピュレがのり、ソースで満たされたもの。ああ!おいしいなあ!
そしてこれにあわせる白ワインがすごい。1989年はワインの当たり年らしい。目の前に座る太ったおじさんが「そのころはバブル真っ盛り。バブルは跡形もなく消えたけど、ワインはこうして残るんですね」と言っていたが、せっかくのすてきな食事の席、もうちょっと気の利いたことはいえないのでしょうか。
それでもワインは本当にすばらしくて、本当に今まで飲んだことのないようなワインです。なんていうかな。コンテチーズのようです。牛乳のうまみを凝縮させて熟成させたチーズ。このワインも、液体ではなくて、ぶどうのもつすべての魅力を絞りきり、さらに寝かせて凝縮させた感じ。ワインを飲む、というより食べるという感覚。
メインはフォアグラを詰めた小鳩をさらにキャベツで包み、網脂で包んでグリルしたもの。きいただけでおいしそうでしょ?
これにはしっかりとした赤ワイン。ボディはあるけど、渋みとかそういう言葉とは無縁の、力強くぬくもりを感じるワインです。
デザートは、桃のコンポートとピスタチオのアイス。まだ日本では出回らないのでフランスからはるばるやってきた桃。半透明の美しい桃は、身の弾力を残しつつシロップが十分に染み渡り、最高に美味しゅうございました。
デザートワインは、ほんのり甘い白ワインです。

このコース、ドリンク込みの一般販売価格は7万円ですって・・・。