Reading Baton

8年来の親友と飲んでいて、「あたしが男ならしゃるちゃんとは付き合わない」と言われて超ショックなしゃるです。こんにちは。

ああ、たしかに私はもてないさ。
もてないランキングをつけたらぶっちぎりの一位というくらいもてない。しかしながら私にだって、今までの人生でそれなりに何人か恋人がいて(いずれも破局してるんですが)、ここはひとつ後学のためにかつての恋人に、訊いてみることにした。


「ねえねえ、私の良いところ、ひとつあげるとすると何かな?」


答え。
かつての恋人から順に、
「突飛なところ」
「歯並び」
「本を大切にするところ」
うーーーむ。参考にならねー。


しかし、唯一私の良いところはという質問で「本を大切にするところ」と答えて頂けるくらい、私は本が好きです。とても好きです。だけど最近、本当に好きなのかはわからなくなってきた。世の中には素晴らしい本がたくさんあると思うけど、そして私はそれらをむさぼるように読んだこともあるけれど、でも依然として「失われた時を求めて」は何回挑戦しても読めないし、「ユリシーズ」も何がすごいんだかよくわからない。心にこない。ドゥルーズヴァレリーやバルトとかピンチョンとかパワーズとか、読みたいけどわからない。これは本が好きじゃないんじゃないかと思ったりもする。なんだかそういうインテリっぽい何かに憧れてるだけなんじゃないか。
私がもっとも本を求めたのは21歳の誕生日に目黒駅でふられた後一ヶ月ちょっとの間で、手当たり次第、とりとめもなく読んだ。私が心から本を欲したのはあのときだったし、全力で、答えを、ヒントを書物に求めた。解釈や、謎解きなんてしらない。この心を埋めてくれれば。
あのときに比べれば今はとても落ち着いて本を読んでいいる。これは直近のかつての恋人に心から感謝していることなのだけど、本を、体系的に理論的に読むことを教わった。必読書というのを意識したり、その本に秘められたメッセージを解くための知識とかそういうものの存在。もし本がつまらなければ、自分に知識が足りないからなのね。現にその人にはつまらぬ書物などないという。私は、つまらない本があることが悔しくて、もっともっと知りたいと思う。教えて欲しいと思う。だけど。あのすべての器官が死んでいた6週間で、私が全身全霊で欲した読書のことを思うと、それこそが大切だったのではないかとも思う。あの頃の私に「文学者は文学者に向けてしかものをかかない」と言われても、「そんなこと知らないわ」と言っただろう。

やっぱり、今よりも昔の方が本好きだったのじゃないかな。



さて、何が言いたかったのかな。つまり私は本について語れるだけの知識がなくて、語れば無知を露呈するだけなので、日記では極力語りません。でも読んだ本を書いておくと、同じ日に同じ本を読んだ人の感想を見ることができる。これは私がはてなを続けている理由のひとつです。

そうそう、それで、逃避しでる場合じゃなく、バトン・・・。

褒め合いというのは傍目から見てるとうざいので申し訳ないんですが、でもid:ishmaelさんのブログは毎日楽しみにしています。昔私がホーソーンについて書いたときにTBくださって、本当に感激しました。これからもいろいろと教えてください。よろしくお願いします。

そしてもうひとつ、いつも楽しみにしているのはid:emimiさん。素敵な方です。おそれおおくもemimiさんの好まれるものと私の好みはよく似ているみたい。テリトリーも似ていて、おそらく都内で何度もすれ違っているのではないかしらと思ってます。私もemimiさんのような毎日を送りたいです。憧れの方。これからも素敵な生活を綴っていってください。

  • 今読んでいる本

たいていいくつかの本を同時進行なんですが、今はブルトンの「ナジャ」とケルアックの「パリの悟り」を読んでます。いや、語りませんよなにも!教えてくださいみんな。シュールレアリスムについて。ビートニクについて。

  • 好きな作家

クッツェー
「恥辱」はかつての恋人とのお別れ旅行のときに読んでいた本、「エリザベス・コステロ」はここ一年で一番夢中で読みました。これを読むと、ジョイスプルーストカフカを読まずして何がわかろうか、という気分になる。読みたくなる。それくらい、すごい作品です。

あと、マイケル・オンダーチェの「イギリス人の患者」。これは訳が好きです。あの鮮やかな言葉にくらくらきて、一体原文はどんなんだろう、と思ってペーパーバックを買って読んだらそれも素晴らしかった。オンダーチェはもともと詩人らしく、英語の文がすごく、すごく素敵なのです。それを訳した土屋政夫にも惚れて、今回スタインベックの「エデンの東」が出たときにはすぐに買ってしまいました。

  • よく読むまたは、思い入れのある本

ヴァレリーの「ムッシューテスト」の中の「マダム・エミリー・テストの手紙」。
繰り返し、読んでは泣いてしまいます。

おっと。洋モノばっかりですね。結構和モノも読むんですが。
庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」は思い出深い作品。まだまっさらだった時代、恋人が私に勧めてくれた本。とてもおもしろかった。冬の朝、一気に読んだ。読み終わった後、あの物語のような勢いで、あの人のことがぐんと好きになった。

  • この本は手放せません!

恥ずかしいんだけど、吉本ばななの「ハチ公の最後の恋人」は、高校生の頃から何十回も読んでます。言葉がきらきらと輝いて、ぐさって心に来て、鮮やかな作品だと思う。とても、とても好きです。

  • 次にバトンを渡すヒト3名

三人は勘弁してください。お気に入りのブログの書き手であるid:emimiさま。お忙しいところ申し訳ありませんが、どうぞバトンを受け取ってくださいませ。