出家

Chartreuse2005-05-28

執念で手に入れた赤のサンダル。とってもかわいいでしょう!ペディキュアにも熱が入ります。

毎週金曜日は朝まで飲んでいるような気がする。
先週連れがワインバーで逆ナンして朝まで飲んだ男と再会。昨夜は、その飲みの後明けたばかりの渋谷の交差点で偶然出逢った友人を交えて、またまた朝まで飲む。「出会いとは不思議なもの」と口々に言うけれど、実は私、今まで付き合った人はすべて居酒屋とかバーとかで出逢った人。合コンでも紹介でもさっぱりな私は、もはや居酒屋とバーにしか出会いはないような気がする。私の第二の我が家だからね、居酒屋やバーは。もしかして、リラックスして魅力が発揮できるのかもしれないね。
テーブルには空いたワインボトルが数本。次々に沈没していく友人を尻目に、完全個室のほの暗い照明のこじゃれたダイニングバーの窓の向こうの半月を指さして、うさぎがとか囁きながらいちゃつくのもよかろうが、26歳。こんなパターンは知ってるの。酔った勢いを借りて甘えたり、じゃれ合ったりして、超特急で付き合い始めることはできるけど、なんだかな。その場限りの遊びでいいわ。いや、その場限りの遊びならいらない。タクシーで、明け方の環七の白み始めた空をぼんやりと見て、孤独でもなく、誰にも会いたくない。一刻も早く、ぼろアパートに帰りたい。シャワーを浴びて、布団にくるまって、ゆっくり、ゆっくり眠りたい。

だけど本日はランチの約束が一件。ゆっくり寝てる場合じゃございません。
約束のできない自己中わがまま男とうまくやっていくコツは、土日はその人との約束は絶対にいれないこと。貴重な休みをすっぽかされて台無しにしたくない。このところ安定した精神状態を保っているのは週末には「約束できる人」としか会わないと決めたからだろう。
相変わらずの二日酔いの体を奮い立たせて、渋谷へ。本日は鰻です、鰻。六本木通り沿い、なんでこんなところにーて感じのところにある鰻屋。実は私はかなりの鰻好き。一人で神楽坂とか江戸川橋とかに鰻を食べに行ってしまうほど好きです。重い扉を横に開けると(開け方わかんなかった)、ジャズが流れるモダンな店内。それってどーなの?と思うが、本場浜松で創業 100年以上の老舗鰻屋の支店だけあり、鰻はふっくら香ばしい。

うーまーいー!これはひつまぶし。一杯目はそのままで、二杯目は薬味をそえて、三杯目はお茶漬けにして食べるのです。私は鰻重の方が好きですが、まあたまにはこの食べ方もいいね。夜は目の前でさばきながら料理してくれるのだとか。鰻コース 5000円くらいだって。ちょっと来てみたいなー。

その後別れて新宿へ。ランコムのサマーファンタジーがいよいよ店頭にディスプレイされたのでチェック。ああ!やられた。去年発売日と同時に完売したブラシ内蔵型フェイス&ボディーパウダー、スターブロンザーパウダー 4725円。健康に日焼けしたようなゴールドのパウダーがすばらしくかわいい。こういう冒険グッズはいくら好きでも買ってはならないと(26歳だし)言い聞かせていても、これは我慢できない。即日完売が確実なので、追加で予約してしまう。そして久しぶりに伊勢丹のコスメフロアを視察。ああ!ゲランのアクア・アレゴリアの新作が先行発売している。私はいくつかお気に入りのフレグランスがあるけれど、すべてゲラン。ゲランが好きなのです。ああ。欲しいなあ。手首に試しにつけてみて、香りを楽しむ。とても気に入ったけど、なんとなく買えない。その後本や洋服やアクセサリーや鞄をみて、私にボーナスがあれば(年俸制)と思って、疲れたから帰ろうと思った途端、約束のできない男からの着信。
「君が新宿にいる気がするんだけど」。
不思議な予知能力のことは、取り立てて問わない。約束を守る能力の欠如は、そのような力としてその人に備わっているのかもしれない。
ラウンジミュージックが流れる賑やかなカフェ。向かい合って、やっぱり今日もブルーのソーダはなかったので、甘酸っぱいベリーが凝縮されたソーダの、沈んだ赤いシロップを誤って吸い込んで、喉のかすかな痛みに眉をひそめて、隣の席をふとみると、 50代半ばの夫婦が二人でラップとサラダとアイスティーを食べている。


結局、逢えたのだから幸せじゃない。


そう自分に言い聞かせて微笑んで、流れてきた前髪をかきあげようと手を顔に近づけた瞬間、試しにつけたさっきの香水が鼻をついて、いきなり泣きたくなる。


違うよ。結局逢えたからって、幸せじゃない。
そしてこの香水を、彼に悟られないよう、距離を置く。
そうか。思い切って香水を変えれば自然に距離がとれるのかもしれない。

どこに心があるんだかわからない。叫びたいけど、叫ぶ言葉がみつからない。いつまで、いつまでこんな不安定なところにいるんだと、本当に嫌になって、出家したい気分でございます。ほんとに。